愛知県指定天然記念物「葦毛湿原」内に、サギソウの球根が大量に投げ込まれいることを、2020年4月2日に確認しました。その後、豊橋市教育委員会ではボランティア協力のもと計6回の作業を行い、累計で1,232個の球根を除去ました。
葦毛湿原では、これまでにも貴重な植物が違法に採取されたり、トキソウやサギソウが植え込まれるといった事例がありましたが、今回のように広範囲にわたって大量に球根が投げ込まれたのは初めてです。
今回の件に関する問題点とポイントは以下の通りです。また、詳しく知りたい方は下記リンクの「葦毛通信」No97をご覧ください。
1)愛知県文化財保護条例に違反
葦毛湿原は愛知県の条例で保護された天然記念物であり、次世代に伝えていくべき大切な文化財です。許可なく植物の球根や種子を葦毛湿原に持ち込むことは、条例に違反する行為(無断現状変更)になります。
2)植物を持ち込むことの影響
葦毛湿原に園芸種や他地域の植物の持ち込みは、湿原の自然破壊につながります。園芸種等との交配雑種ができると、葦毛湿原固有の植物遺伝子が汚染されます。やがて葦毛湿原本来のDNAを持つ植物がなくなり、葦毛湿原の固有植物が絶滅します。
【ポイント①】 他からの持ち込みは絶対にダメ
園芸種や外国産植物、国内種でも他地域の植物の持ち込みは、本来の固有植物を絶滅に追いやる極めて影響の大きい自然破壊行為です。このようなことは絶対に行わないでください。
【ポイント②】 自然保護の考え方
生物多様性の保全を基本にした自然保護は、各地域に固有の生物を保護していくことが基本になります。単に数が増えれば良いということではありません。各地に固有の多くの生物を保護していくためには、その地域に固有の多様な環境を保全していく必要があります。
◎葦毛湿原(郷土の文化財資料 天然記念物)
http://www.toyohashi-bihaku.jp/?page_id=4594
≪投げ込まれた球根(画像円内など)≫ ≪除去した球根の一部≫