松平(大河内)家寄託品
江戸時代中期から明治維新に至るまで計8代、160年にわたり吉田を治めた松平(大河内)家。同家の祖は知恵伊豆として有名な伊豆守信綱で、最初に吉田城主となったのはその曽孫信祝です。大名の中でも由緒ある同家からは、老中、大坂城代、京都所司代など幕府の要職に就く者もあり、特に信明は寛政の改革を推進したことで知られています。
同家の歴代は、文学、美術など学芸方面に造詣が深く、多くの遺品が今に伝えられています。これらの古文書、書画、什器などは豊橋市美術博物館に寄託され、常設展などで展示しています。
紋散牡丹唐草角赤託
紋散牡丹唐草角赤(もんちらしぼたんからくさかどあか) 大河内家寄託 角赤は、手箱の四角に布目を出し、朱漆を塗ったことからの名称で、おそらく身回り品、化粧道具などを入れたと思われます。大小2個1対をなすもので、当館には大のみが寄託されています。 紐金具が側面に打たれ、朱房の組紐で結ぶようになっています。黒漆部分には牡丹唐草文様を描き、大河内家の家紋を散らしています。紋入梨子地音川蒔絵香盆 大河内家寄託
紋入梨子地音川蒔絵香盆(もんいりなしじおとがわまきえこうぼん) 大河内家寄託 梨子地に金で清流と流れる紅葉を描き、ところどころに岩やいかだを配し、さらに松平(大河内)家の表紋「三蝶円内十六葉菊」と裏紋「三ツ扇」を散らしたた意匠の優れたものです。阿古陀形火取、重香箱、焚殻入が付属しています。 箱の貼札には「貞恭院様御遺物 天保十三年三月」とありますが、貞恭院とは松平(大河内)信明の第14子錦です。大河内家譜 大河内家寄託品
大河内家譜(おおこうちかふ) 大河内家寄託品 大河内松平家の家譜は、最初松平信輝によって全一巻として作成されましたが、その後信祝によって本格的な編さんが行われました。 享保19年(1743)に信輝までの4巻ができ、その後順次成立して、文政年間(1818~30)に信明の記録が完成しました。 本資料は、序目から巻第七までの浄書本で、この他信復から信古の代に至るまでの草稿本や写本も存在します。この記事は 2014年02月06日に更新されました。