近年、緻密な技法で対象をリアルに表現した写実的な造形作品が大きな関心を集めています。美術の歴史をふりかえれば、対象を瓜二つに表現することは、洋の東西を問わず古くから多くの人々の関心を集め、作家たちは迫真的な表現をめざして様々な工夫を凝らしてきたことがわかります。
本物「そっくり」に表現するという課題は、19世紀に写真が発明されたことで一見解決したかに思われました。しかし、いうまでもなく三次元を二次元に置き換える写真には限界があります。コンピューターや映像技術の進展は、そっくりな表現に新たな曲面を開きましたが、現代にあっても対象をそのまま表現するという課題は残っています。
なぜ本物と見紛うばかりに表現しようとするのか、またなぜそうした表現に私たちはひきつけられるのか——–?、そこには表現、実在、視覚などをめぐる重要なテーマが存在します。
本展では「そっくり」をキーワードに、近年超絶技巧として注目を集めている安藤緑山・山﨑南海ら明治期の工芸作品にはじまり、岸田劉生らの大正リアリズム、野田弘志・礒江毅・諏訪敦の迫真的写実絵画、上田薫・三尾公三らのフォトリアリズム、須田悦弘・前原冬樹の立体造形など、工芸・立体・絵画・映像といった多種多様な写実作品約80点を紹介し、写しとることの意味とそれらを求める根源的な意識を探ります。
平成29年9月30日(土)~11月12日(日)
※月曜日休館(10月9日は開館、翌10日休館)
※「豊橋まつり」開催のため、10月21・22日は駐車場が利用できません。
●開館時間=午前9時~午後5時
(金土日祝は午後7時まで夜間開館)
●会場=1階第1~3展示室・特別展示室
●主催=豊橋市美術博物館、中日新聞社
●観覧料=一般・大学生 1000(800)円
小・中・高生 400(300)円
*( )内20人以上の団体料金。
*「豊橋市敬老バッジ・シルバー優待カード」「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」のいずれかをお持ちの方は入場料が無料となります。
*「ほの国こどもパスポート」で東三河地域在住または在学の小・中学生は無料で観覧できます。
☆「松本零時士展」半額割引!☆
本展の有料鑑賞券(半券可)のご提示で「松本零士展」(9/2-10/22)が通常料金の半額でご覧いただけます(その逆もOK)! 一般・大学生1000→500円/小・中・高生400→200円(1枚につき1人1回・他の割引との併用不可)
出品作家
<絵画>
横山松三郎・高橋由一・鹿子木孟郎・岡田三郎助・岸田劉生・椿 貞雄・小絲源太郎・髙島野十郎・大澤鉦一郎・宮脇晴・山田睦三郎・水野正一・筧忠治・野田弘志・磯江毅・三栖右嗣・諏訪敦・水野暁・木下晋・星野眞吾・上田薫・三尾公三・鴫剛・岡田修二・山口英紀・橋爪 彩・宮本佳美
<立体>
高村光雲・石川光明・橋本平八・三宅一樹・須田悦弘・前原冬樹
<工芸>
安藤緑山・山崎南海・明珍正信・富木宗義・三浦鉚三郎・森田藻己・満田晴穂
<映像>
佐藤雅晴・伊藤隆介
関連イベント(●=要申込/○=申込不要)
●記念講演会「写実とはなんだろう」●
講師:野田弘志(本展出品画家)
日時:10月28日(土)午後2時~
会場:講義室(聴講無料/定員80名)
協賛:豊橋市美術博物館友の会
申込:9月5日(火)より電話受付
(定員に達したため受付終了)
内容:現代写実絵画の第一人者として知られる野田弘志は、近年では写実を志す後進を育成する活動でも注目されています。レオナルド・ダ・ヴィンチやフェルメールなど、画家の敬愛する西洋古典絵画を基点に、「写実とは何か」お話しいただきます。
○アーティスト・トーク○
講師:佐藤雅晴(本展出品作家)
日時:10月14日(土)午後2時~
会場:展示室(申込不要/観覧料が必要です)
内容:映像や写真をパソコンに取り込み、「なぞる」ことで、現実をトレースする作家・佐藤雅晴。本展には静物・人物を主題とする平面作品とドイツ・日本の情景を主題とするアニメーションが出品されています。
●ワークショップ●
「みんなでつくる不思議な絵」
講師:宮本佳美(本展出品画家)
日時:11月3日(金・祝)午後1時30分~
会場:講義室
対象:小学生20名
申込:参加者募集中
参加料:500円
内容:水彩絵の具を混ぜ合わせて独自の色を生み出し、水に浸したプリザーブドフラワーを描くことで知られる宮本佳美。作家と一緒に絵の具づくりからはじめ、小さな世界に豊かな世界が広がっていることを共同制作で解き明かします。
○ギャラリー・トーク○
講師:担当学芸員
日時:10月8日(日)、29日(日)、11月4日(土) 午後2時~
☆金曜イブニングツアー=10月13・27、11月10日 午後5時30分~
会場:展示室(申込不要/観覧料が必要です)