びはくの不思議
びはく★クロージング・イベント クロノさんと行く館内探検ツアー
参加者の見つけた「びはくの不思議」
参加者の皆さまから寄せられたチェック・ポイントを抜粋して紹介します。可能な限り回答いたしましたが、このたびは建築的に不思議なところ、面白いところをあげてもらうことを目的としていたため、老朽化した点などの指摘は割愛させていただきましたので、ご了承ください。
1階
(1)レンガがところどころ飛び出ているのはなぜ?(7名)
当時流行したタイルレンガですが、凹凸があるのは、単調にならず変化をつけるためのデザインでしょう。当館のものは基本約2cm程度の厚さですが、飛び出ているものは厚く、さまざまな厚みがあったようです。
ギャラリーや企画展で回廊壁面に作品やパネルを展示する場合もあります。その際はフラットに展示することができず、作業員泣かせの壁でもあります。
(2)ガラスで囲まれた水がはってある石畳の方形の敷地は何?
建設当初は水を循環させる装置が備わった池でした。循環器はすでになく、雨天の時のみ吹き抜けの天井から雨水が落ちて池になる状態に(動画参照)。大雨の時には鎖づたいに滝(!?)が出現しました。展示室へは池の上を渡っていく構造になっています。このたびのリニューアルで池は消滅し、新たにエレベーターが設置されます。
(3)天井の銀の球は何?
開館当初からある水銀灯です。環境汚染問題もあるため、現在は使われていません。改修工事で撤去する予定です。
(4)入口から入って左(西側)の空間は何?
このエリアは当初一続きになった広いピロティでした。カフェが新設されたことで裏側になってしまった空間がデッドスペースに。
(5)1階の図書コーナーはなぜ半円形?
平成2年までここに喫茶コーナーがあり、半円の内部は厨房でした。本棚の上がカウンターでしたが、現在はポスター掲示用のコルクボードで封鎖されています。改修後、半円の内部を授乳室として活用する予定です。
(6)1階の回廊天井が中庭に向かって斜めに低くなっているのはなぜ?
逆アーチ型の天井に沿った構造と思われます。なんと、設立当時は展示室内の天井も同じように傾斜していて1.5mの高低差があったそうです。斬新であると当時話題になったようですが、照明の均一化、ピクチャーレールや可動壁の設置のため、展示室は昭和63年度に改修して、現在のようなフラットな天井になりました。回廊の傾斜はその名残です。
(7)中庭を取り囲む回廊と展示室の配置
設計者は光を館内に取り込みたいと考えたようです。それが中庭の周囲に回廊と展示室を設けるという構造につながりました。展示室を出るたびに自然光を目にするように配置されています。
展示室は基本的に作品保護のため照度を低く設定しています。当館では低い照度に慣れた後に自然光を目にするため、来館者は展示室が暗いという印象を持つようです。
(8)1階展示室の天井格子(ルーバー)はなぜあるのか。ダクトが見えて美しくない。
ルーバーの上の展示室上部東西には採光のための高窓が設けられていました。自然光を展示室に入れたことで当時話題になりましたが、朝日や西日が差し込み、調光が均一にできないため、昭和63年の改装の際に暗幕で封鎖されました。このたびの改修工事ではルーバーのあった位置に天井を張り、上部は見えないようになります。
ルーバーは立体物やバナーを吊り下げる際に活用したこともあります。
(9)壁に埋めてある丸い金属は何?
溝に金具を差し入れて回すと、展示物を吊ることのできる金属棒(フック)が出てきます。回廊を用いるギャラリーの展示等で使用することもあります。
このたびのクロージング・イベントではメッセージ・プレートの吊り下げに活用しました。
(10)1階から2階へのスロープがカーブしているのはなぜ?
直線構造に変化を与えるため、曲線を用いたと思われます。黒野さんのレクチャーでも紹介されたアアルトの建築理念の影響があるのかもしれません。
2階
(11)2階東側の変な階段の行先は?(4名)
第5室の非常口に通じています。第5室の防火扉が閉まり、閉じ込められた場合、ここから出ることができます。隣に空の見える窓があるため、一見すると外に通じているようです。
(12)西側の外のらせん階段が不思議(3名)
2階の西端に位置する第1室・2室から屋外へ避難する場合、東側の階段までの距離があるため、緊急時用に設けています。これまで一度も使用したことがないのは幸いでした。
(13)2階展示室の天井に高低差があるのはなぜ?場所によっては格子天井(ルーバー)。
ご指摘の通り、1、3、5室は約3mと低く、2と4室は4.5m、4mの高い天井です。天井が低い部屋では考古資料や陶磁器、高い部屋では絵画を展示するなど、展示目的や部屋の規模に合わせて高低差をつけたようです。2室のルーバーは、1階の(8)と同様、採光が目的と考えられます。1階と同様、高窓は暗幕で塞がれました。
(14)外から見ると3階があるようだが・・・?
西側の大窓は(13)でお答えした採光窓です。東側の3階にあたる部分は、貨物用エレベーターの機械や空調ダクトなどがある屋根裏状の低い空間です。
それぞれ採光窓があるため、外から見ると3階建てのように見えます。
(15)2階の奥はどうなっている?外から見ると東側にもっと長いはず。
自主探検後にバックヤードツアーでご案内したので、実際の様子を確認することができたと思います。研究室や書庫、収蔵庫があります。
この記事は 2022年12月06日に更新されました。