雪后閑庭
平川敏夫(ひらかわとしお) 1924-2006 紙本墨画 四曲一双屏風 各165.3×338.0

雪后閑庭
解説
この作品は、昭和60年に右半双を発表したのち、平成2年の平川敏夫展(豊橋市美術博物館)に出品するため、左半双を描いて四曲一双屏風として5年越しで完成しました。長野県駒ヶ岳山麓にある光前寺本坊から望む築山式の庭園を主題にして描かれています。積雪の荘厳な空気のなか、深閑と佇む冬の情景が墨と余白との絶妙なバランスで捉えられ、画面には、張り詰めた透明な空気が漂い、独特な幽玄世界を創り出しています。その作風は個性的で、従来の〈南画〉とは一線を画しています。マスキングを応用した“白画描法”を駆使した新しい〈墨画〉を編みだし、独自性を打ち出しました。墨の濃淡だけで、日本風土の自然が織り成す豊かで微妙な彩りを再現しようと試みたのです。(大野俊治)この記事は 2014年02月11日に更新されました。